このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
トップページ > 記事閲覧
遠隔地での遺跡撮影
日時: 2005/01/31 07:33
名前: 事務局への質問

はじめまして。私は、イギリスのロンドン大学(UCL)で考古学を勉強している生徒で
すが、この度、埋蔵文化財写真技術研究会のホームページを拝見し、ご連絡させてい
ただきました。
デジタルカメラで遠方にある発掘現場を撮影する際の利点と不利な点を可能な限りで
よいのでお教えいただきたい。
メンテ

Page: 1 |

Re: 遠隔地での遺跡撮影 ( No.1 )
日時: 2005/01/31 07:34
名前: 事務局

初めまして。ロンドンでの考古学、大変な事とお察しいたします。
さて、ご質問の件ですが前提となる状況をまずお聞かせ願えないでしょうか。

一点はデジタルカメラで撮影しなければならない状況
デジタルカメラといっても様々で、特に発掘調査の写真は調査時そのときにしか
撮影できない物がほとんどです。撮影した写真を将来的にどのように使用するか
不明な撮影ではデジタルカメラでの撮影はさけるべきです。
デジタルカメラを使用できる状況は、使用する目的が限定的でデジタルカメラでの
撮影が最も適している場合・デジタルカメラの速写性、確実性、利便性がどうしても
必要で、撮影後の情報保管指針が決まっている場合などです。

現状ではフィルムでの撮影と比較して品質的には一般的な35mm一眼レフの写真を
凌ぐ物もありますが、汎用性・保管性という点では満足できる物はありません。

もう一点は「遠方」の定義が不明です。
遺跡からの距離が少しあり望遠レンズでの撮影が必要という意味でしょうか。
常置のカメラによる遠隔操作での撮影という意味でしょうか。
遠隔操作ならデジタルカメラの必要性も出てくることでしょう。

二つの点に関してご説明をいただいた上でデジタルかアナログか適用を
考えていかなければならないでしょう。
メンテ
Re: 遠隔地での遺跡撮影 ( No.2 )
日時: 2005/01/31 07:35
名前: 事務局への質問

お忙しい中お返事どうもありがとうございます。今回知りたいことは、下記のことに
ついてです。

the advantages and disadvantages of using a totally digital approach to
photographing an archaeological site in a remote region.

この場合、デジタルカメラで撮影しなければならない状況としては、考古学の発掘現
場全般で、発掘の記録として撮影し、場合によってはその後に出版されるかもしれな
いし、そのまま保存されるかも知れない状況下ということです。

また、(遠方)とは、都市部から離れた周りにあまりほかとの連絡手段のようなもの
がないような場所という意味でお願いします。

説明不足で、申し訳ありませんでした。すみませんが、よろしくおねがいできますで
しょうか?
メンテ
Re: 遠隔地での遺跡撮影 ( No.3 )
日時: 2005/01/31 07:36
名前: 事務局

こんにちは。
ご質問の件ですが、遠隔地(僻地に近い?)の考古学(発掘)調査について
デジタル写真の利点と欠点ということですね。

まず、現在の文化財写真においての趨勢を考えて整理してみましょう。
文化財写真の役割は大きく公開普及と画像記録保存の二つです。

公開普及の観点から見るとデジタルの利点は利便性と即時性が挙げられます。
撮影した写真をデータベースに活用したりプリントアウトして資料にしたり
比較的簡便に即座に利用することができ、大きなメリットでしょう。
遠隔地の遺跡調査においてはデータ送信で本拠地とのやりとりに写真を
使用できたりするなどのメリットもあるでしょう。

ただ、取得できるデータが限定されることは重要な欠点であります。
どういうことかと言うとデジタルデータはInput側とOutput側のデータが
1:1で最大の品質を発揮する物であるということです。
使用する用途によってあらゆるデータサイズが必要になる場合、
デジタルカメラのデータでは生成されるデータサイズが固定もしくは
2種類ほどのデータに限定されてしまい拡大縮小によるクォリティダウンが
生じてしまいます。かなり大きな欠点です。
つまり、画像情報の記録保存には使用することができないということです。

こういった状況から、現在の趨勢では埋蔵文化財写真(研究会)では
利用するためのデジタル・画像記録保存のためのアナログという棲み分けをしています。

デジタルカメラを利便性から使用することは大いに進めるべき事で
その中で新たな使用形態を編み出すことができるでしょう。
しかし、それとともにアナログ(特にモノクローム写真)を撮影しなければなりません。
どうしても即時性が必要ではないのならばフィルム(カラー・モノクロ)で撮影して
スキャナなどでデジタルデータを取得して利用することが文化財写真では
最も適したフローであることは間違いありません。


いろいろ書きましたが、デジタルを否定しているわけでもありませんし
その場その場で必要な事項を考えて方法をセレクトしてください。
重要なことは遺跡撮影においてはあなたが撮影した写真以外に客観的記録は
残らない。つまり「撮影した写真自体が文化財」であることを常に頭に置いて
これからの考古学活動を進めてください。
メンテ
Re: 遠隔地での遺跡撮影 ( No.4 )
日時: 2005/01/31 07:37
名前: 事務局への質問

具体的な説明をいただくことができ、とても役に立ちました。この度は、お忙しい中
お時間を割いていただき、どうもありがとうございました。とても感謝しています。
メンテ

Page: 1 |