Re: 自然光での遺物撮影 ( No.1 ) |
- 日時: 2003/06/04 21:48
- 名前: 井本昭<
>
- 参照: http://maishaken.sakura.ne.jp/
- 自然光だけでは、実にさまざまな撮影状態です。遺物を屋外で撮影するのか、窓などから入る外光を利用して屋内撮影するのか、どちらでしょうか? 天候状態はどうするのでしょうか? 太陽光が直接遺物を照明すれば、強い直接光により、明暗差が大きく、陰や影が強く出ます。逆に曇天となると、太陽が雲で覆われ、間接光(拡散光ともいいます)明暗差が小さく陰や影が弱く出ます。このように影の出方が違ってくると、遺物の立体感や材質感の再現のされ方が異なってきます。また太陽は東から出て西に沈みますが、撮影する時刻によって太陽の位置が変化します。すると陰や影の位置と形が異なってきます。 これだけ申し上げると、自然光で適切な撮影が安定してできるかどうかお分かりでしょう。 また埋蔵文化財写真の大きな誤りの一つに、屋外撮影は曇天が最適という伝統があります。白黒写真では、天候や撮影時刻を一定にすれば、見られる写真を撮影することは可能です。しかしカラー写真では、フィルムの色再現が問題となります。カラーフィルムは、日中の快晴下で限られた時間しか、適切な色再現をしません。また冬と夏とでは、日照時間が違います。遺構などの撮影では、快晴またはやや薄日の天候で、冬は10:00〜14:00、夏は8:30〜17:00(ただし夏の日中10:30〜14:00を除く)が目安です。この条件からはずれたカラーフィルの再現は、何らかの問題を抱えます。曇天では全体に真っ青な色再現、朝夕では太陽光が当たった部分が赤く、陰の部分は青く再現されます。 (投稿者:井本)
|
|